ELNとは
ELNとは
ELNとは、電子実験ノート(Electronic Laboratory Notebook)の略称で、紙の実験ノートに代わって、実験記録をデジタルで作成・保存・共有するシステムです。
従来、紙に手書きで記録していた実験内容や結果を、PC上で入力・保存できるようにすることで、転記や手入力の削減、チーム間の情報共有、過去データの活用、監査対応の強化など、多くのメリットをもたらします。
現在では、製薬、化学、食品、大学・研究機関など、さまざまな業界でELNの導入が進んでおり、研究開発・分析業務のDX(デジタル変革)を支える中核ツールとして注目されています。
従来、紙に手書きで記録していた実験内容や結果を、PC上で入力・保存できるようにすることで、転記や手入力の削減、チーム間の情報共有、過去データの活用、監査対応の強化など、多くのメリットをもたらします。
現在では、製薬、化学、食品、大学・研究機関など、さまざまな業界でELNの導入が進んでおり、研究開発・分析業務のDX(デジタル変革)を支える中核ツールとして注目されています。

主な課題
ラボにおける記録作業は、実験の品質や再現性を担保するうえで非常に重要です。
しかし、紙のノートには以下のような問題点が存在します。
このような課題は、電子実験ノート(ELN)で解決できます
導入による効果とメリット
ELNを導入することで、次のような効果が期待できます。
実験記録の標準化と再現性の向上
あらかじめ定義されたテンプレートを使って記録を統一。
「誰が記録しても、同じ粒度・形式」でデータを残せるようになります。
「誰が記録しても、同じ粒度・形式」でデータを残せるようになります。
チーム間での情報共有・リアルタイム閲覧
オンライン上で記録が共有され、別拠点や別部署との情報連携もスムーズに。共同研究や検証作業の効率が飛躍的に向上します。
データ検索・活用の容易化
キーワードや日付、担当者、試験名などですばやく過去の記録を検索でき、再利用性が大きく向上。
「同じ失敗を繰り返さない」研究サイクルが実現します。
「同じ失敗を繰り返さない」研究サイクルが実現します。
修正履歴・操作ログの自動保存
記録の修正履歴や承認・閲覧ログが自動で保存され、監査対応や品質保証にも対応。
GxPやALCOA原則などへの準拠が求められる業界でも安心です。
GxPやALCOA原則などへの準拠が求められる業界でも安心です。
主な機能・特徴
ELNには、研究開発、試験の現場で必要とされる機能が多数組み込まれています。
項目 | 説明 |
---|---|
実験記録作成・編集 | テキスト、画像、ファイルなどを組み合わせて実験ノートや記録用紙を電子的に作成・編集します。テンプレート機能も利用できます。 |
テンプレート機能 | 定型的な実験や報告書のフォーマットをテンプレートとして登録し、再利用することで、記録の標準化と効率化を図ります。 |
データ・ファイル管理 | 実験データ、分析結果、関連文書などを実験記録に直接添付し、一元的に管理します。バージョン管理機能を備えるものもあります。 |
プロトコル管理 | 標準的な実験手順(プロトコル)を登録・管理し、実験記録作成時に参照・引用することで、実験の標準化と再現性向上を支援します。 |
コラボレーション機能 | 複数の研究者が実験ノートを共有し、コメントの追加や共同編集を行うことで、チーム内での情報共有や連携を促進します。 |
レポート出力 | 記録された実験ノートの内容を、PDFなどの形式で報告書として出力する機能です。特定の情報を抽出してカスタマイズしたレポート |
検索機能 | キーワード、日付、作成者、実験内容など、様々な条件で過去の実験記録を迅速に検索できます。 |
監査証跡 | いつ、誰が、何を作成・変更したかの記録(タイムスタンプ、操作者情報など)を自動的に保存し、記録の信頼性を確保します。 |
電子署名 | 作成された実験記録に対して、作成者や承認者が電子的に署名を行うことで、記録の確定と承認プロセスを管理します。 |
また、試験機器や社内システムやLIMS、SDMSとの連携により、紙に書けなかった多様なデータも一元的に管理することが可能です。
ELN 導入前後の比較
項目 | 導入前 | 導入後 |
---|---|---|
実験記録の作成 | 手書きの紙ノート、フォーマット不統一、図や画像の添付が煩雑、清書に時間 | テンプレート利用による構造化された記録、テキスト・画像・ファイルの直接挿入、リアルタイム入力、編集・修正が容易 |
データ管理・検索 | 紙媒体での保管、ファイリングの手間、必要な情報の検索に時間がかかる、紛失・劣化リスク | 全文検索やキーワード検索による迅速な情報アクセス、データの一元管理、バージョン管理、バックアップによる保全 |
情報共有・共同作業 | ノートの物理的な貸し借りが必要、リアルタイムでの情報共有が困難、共同編集が不可能 | 複数ユーザーによる同時アクセス・閲覧、コメント機能によるコミュニケーション、セキュアなデータ共有、共同編集機能 |
知的財産保護 | 記録日時や変更履歴の証明が困難、第三者による証明の煩雑さ、ノートの信頼性確保が課題 | タイムスタンプ機能による記録日時の自動証明、詳細な監査証跡(いつ誰が何を変更したか)、電子署名による信頼性向上 |
実験の再現性・標準化 | 記録の粒度や詳細度が個人に依存、手順の曖昧さによる再現性の低下、プロトコルの共有不足 | 標準化されたテンプレートの使用、詳細かつ正確な実験手順の記録、過去の成功事例の容易な参照、プロトコルの共有 |
報告書作成 | 実験ノートからの手作業でのデータ転記、グラフ作成や考察記述に時間がかかる、フォーマット不統一 | ELNから直接データやグラフをエクスポート、報告書作成の効率化、定型レポートの自動生成(一部機能による) |
プロトコル管理 | 紙ベースでの管理、バージョン管理が煩雑、最新版の周知徹底が困難 | プロトコルのデジタル管理、バージョン履歴の保存、テンプレートとしての再利用、組織内での共有と標準化 |
監査対応 | 膨大な紙の記録からの必要情報探索、記録の完全性や信頼性の証明に手間 | 監査証跡による追跡容易性、必要な記録の迅速な検索・提出、データの完全性・信頼性の向上によるスムーズな監査対応 |
技術・ノウハウの継承 | 個人のノートに知識が埋没、退職時の情報散逸リスク、後任者への引継ぎが困難 | 組織的な知識データベースの構築、検索可能なナレッジベースとしての活用、スムーズな技術・ノウハウの継承 |
リモートアクセス | 研究室やオフィスでないと記録の確認・編集が不可能 | Webブラウザや専用アプリ経由で場所を問わずアクセス可能、実験の進捗確認や記録の追記が柔軟に(システムによる) |
活用シーン
製薬メーカーA社
研究開発部門での記録をELNに移行。複数拠点のチームで実験結果をリアルタイムに共有し、記録の再現性と承認スピードが向上。
化学メーカーB社
紙ノート管理だった試験記録をテンプレート化し、試験フローの統一と教育負担の削減に成功。
大学・研究機関C研究室
研究記録と装置データを一元管理。学生・教員間の引継ぎや共同研究の効率が向上。
実験ノート、記録書
日々の実験記録では、様々な入力方法や手書きなどを利用して紙のノートのように利用できます。
記録書などの定型フォーマットがあるものは、テンプレートを用いることで記載内容の統一化ができます。
記録書などの定型フォーマットがあるものは、テンプレートを用いることで記載内容の統一化ができます。

社内の情報共有
NEXSは実験ノートにとどまらず、部署内の報告会やプロジェクト会議の議事録といった様々な文書の作成・共有にも有効です。

点検管理簿
NEXSで試験機器の日常点検簿を作成し、タブレットを見ながらその場でチェックすることも可能です。
紙の台帳の管理が不要となり、ワークフロー承認を用いることで上長のチェックもNEXS上で完結できます。
紙の台帳の管理が不要となり、ワークフロー承認を用いることで上長のチェックもNEXS上で完結できます。

製品のリニューアルプロジェクト
1つのプロジェクトに対して、複数の部門・人が、目的・業務に応じたノート(様式・項目など)を作成して情報を入力。
タイムリーな情報共有・活用が可能となります。
タイムリーな情報共有・活用が可能となります。

よくある質問
導入について
機能について
システム環境について
西川計測のELNソリューション「NEXS」
西川計測が提供する「NEXS(ネクサス)」は、研究・分析業務に特化した実用性重視の電子実験ノートです。
NEXSは、以下のような特長を備えています。
- 直感的な画面設計と柔軟なテンプレート設計機能
- 装置データや画像ファイルの取り込みに対応
- チームでのリアルタイム共有・共同編集が可能
- 段階導入・カスタマイズ・導入サポートも充実

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