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GMPとは?三原則や導入・運用方法を解説

GMPとは、『適正製造規範』または『製造管理および品質管理の基準』を指します。医薬品分野では『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準』として法令上位置づけられています。
近年、各分野でGMPやGMPに類する製造・品質管理基準への対応が求められています。
特に、法改正やグローバルスタンダードへの適合に伴い、これまでの属人的な管理方法では対応し切れないケースが増加しており、業務の効率化と信頼性の確保を両立させるシステム導入・運用のニーズが高まっています。
この記事では、GMPの基本概念や必ず押さえるべき「三原則」、そして試験サービス部門が直面する課題を解決するための具体的な導入・運用方法やITシステム活用のポイントをご紹介いたします。
GMPとは
まず、GMPの基本を押さえておきましょう。
GMPの定義
GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略称で、日本語では「製造管理および品質管理の基準」や「適正製造規範」と訳されます。
医薬品、医薬部外品を中心に、化粧品や健康食品などでも分野ごとのGMP・自主基準が整備されています。
背景と法的位置づけ
米国での医薬品規制強化などを背景に、各国で製造・品質管理基準が整備されてきました。
日本では、GMPに関する規制が整備され、現行では『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令』などに基づき運用されています。
GMPの基本概念
GMPは、原材料の入庫から製造、出荷にいたる全てのプロセスにおいて、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるようにするためのハードウェア(製造設備)およびソフトウェア(管理体制・手順)の仕組みです。
最終製品の一部を抜き出して試験検査する(部分的チェック)だけでは、最終製品試験だけでは、全品の品質を十分に保証することは困難です。
そのため、資材の受入から製造プロセスの監視、記録の保存に至るまでの「一連のプロセス全体」をコントロール下に置くことが、GMPの基本思想となっています。
GMPの三原則
GMPを現場で実践・運用する上で、業界を問わず共通する最も重要な柱が「GMPの三原則」です。
三原則は、相互に連動して品質を守る仕組みをかたちづくっています。
人為的な誤り(ミス)を最小限にすること
人間が作業を行う以上、ヒューマンエラーのリスクをゼロにすることは困難です。
GMPでは、作業手順を明確に文書化(SOPの整備)して手順に沿って作業できる体制を整えること、重要な工程でのダブルチェック体制を構築すること、定期的な研修を実施することなどによって、思い込みや勘違いによる人為的なミスの発生リスクを低減します。
医薬品等の汚染及び品質低下を防止すること
製造や試験のプロセスにおいて、異物混入や微生物汚染、他の物質との交差(クロス)汚染、さらには保管環境の不備による品質低下は、あってはならないものです。
製造エリアを用途ごとに区分する(ハード面の対策)、設備・器具を徹底して洗浄・滅菌・点検する、室内の温度・湿度・気圧(差圧)を管理する、原材料や検体を適切な温度や期限で厳格に管理する、作業員の衛生管理や適切な防護服の着用といった対策で、汚染や品質低下を防止を図ります。
高い品質を保証するシステムを設計すること
常に高い品質を維持し、それを客観的に証明できる「仕組み(システム)」そのものを設計・運用することです。
原材料から完成品までの全作業内容や結果を漏れなく「記録」として残し(トレーサビリティの確保)、手順や設備を変更する際の影響評価、想定外の不具合が起きた際の原因究明と再発防止(CAPA)を仕組みとして定着させ、継続的にプロセスを改善していきます。
GMPの目的
GMPに対応する体制を整えることには、以下のような具体的な目的とメリットがあります。
品質が一定で安全な製品を安定的に供給する
GMPの最も重要な目的は、品質が一定で安全な製品を継続して供給することです。
同じ製品であっても、製造方法や設備、作業者、原材料の管理方法が統一されていなければ、品質にばらつきが生じる可能性があります。
医薬品ではわずかな品質差が患者の健康へ重大な影響を及ぼすこともあるため、製造工程を標準化し、常に同じ品質を維持する仕組みが求められます。
GMPでは、製造手順書や標準作業手順書(SOP)の整備、設備の適切な管理、教育訓練の実施などを通じて、製造条件を一定に保ちます。
また、品質試験についても試験方法や判定基準を標準化することで、担当者による判断のばらつきを抑えます。
製造上のリスクを事前に管理・低減する
GMPでは、異物混入や成分の配合ミスなどの不具合を、起きてから最終検査だけに頼るのではなく、問題が発生する可能性を事前に把握し、未然に防ぐ考え方を重視しています。
製造工程では、設備の故障や作業ミス、原材料の取り違え、試験結果の誤記録など、さまざまなリスクが存在します。
これらを放置すると製品品質に影響を及ぼすだけでなく、製品回収や行政指導につながる可能性もあります。
そのためGMPでは、製造工程ごとのリスクを洗い出し、管理方法を明確に定めます。
たとえば、以下のような対策が代表的です。
- 製造手順・試験手順の標準化
- ダブルチェックによるヒューマンエラーの低減
- 設備の定期点検・校正
- 原材料や試薬の管理ルール整備
- 教育訓練による作業品質の均一化
原因究明と対応を行いやすくする
万が一製品に問題が起きた際、過去の記録(製造・試験ログ)を遡り、影響範囲の特定やリコールを迅速に行うことができます。
どれだけ管理体制を整えていても、不具合が発生する可能性を完全になくすことはできません。
重要なのは、不具合が起きた際に原因を迅速に特定し、影響範囲を明確にした上で適切な対応を実施できることです。
GMPでは、製造から試験、出荷に至るまでのすべての工程について詳細な記録を残すことが求められています。
たとえば、
- 製造日時
- 使用した原材料
- 製造設備
- 作業担当者
- 試験結果
- 承認履歴
などを適切に記録することで、問題発生時でも履歴をたどりながら原因を特定できます。
社会的信頼を確保し、企業価値を守る
医薬品や再生医療等製品などは、人の生命や健康に直接関わる製品で、それぞれ薬機法(医薬品医療機器等法)と再生医療安全性確保法に基づき承認されています。
そのため、一度でも品質問題やデータ改ざん、不適切な製造管理が発覚すると、企業イメージの低下だけでなく、製品回収や業務停止命令など大きな影響を受ける場合があります。
近年では国内外を問わず、製造記録や試験データの信頼性が厳しく求められており、データインテグリティへの対応もGMP運用の重要なテーマとなっています。
たとえば、試験データについても、「誰が」「いつ」「どのような操作を行ったか」を追跡できる監査証跡の整備が必要です。
こうした取り組みは法令対応だけでなく、取引先や規制当局からの信頼獲得にも貢献します。
業務効率化とコスト削減
GMPへの取り組みは品質管理のためだけではなく、結果として生産効率の向上やコストの最適化にもつながります。
製造工程や試験工程で品質のばらつきやヒューマンエラーが発生すると、再製造や再試験、原因調査、製品の廃棄といった追加作業が必要になります。
こうした手戻りは、多くの人員や時間を要するだけでなく、原材料や試薬、設備稼働時間の無駄を生み、製造コストの増加を招く要因となります。
GMPでは、標準化された手順に基づいて製造・試験を実施し、工程ごとの記録や確認を徹底することで、不良品や品質異常の発生リスクを低減します。
その結果、再作業や廃棄ロスを抑えられ、限られた人員でも安定した生産体制を維持しやすくなります。
GMPの種類
GMPは、対象となる製品のリスクや性質、市場の特性に応じて、いくつかの規格や関連基準に分かれています。
医薬品GMP
代表的で、法令に基づく厳格な運用が求められるのが医薬品GMPです。
国民の保健衛生を保護するため、薬機法およびGMP省令等に基づき厳格な遵守が求められ、当局による査察や立入検査も行われます。
化粧品GMP
化粧品の製造に関する品質・安全性についての国際規格(ISO 22716)などをベースにした業界の自主基準が事実上の化粧品GMPとして広く普及しています。
医薬品GMPのような法的な義務ではないものの、安全性・品質管理の向上を図るため多くのメーカーが導入しています。
健康食品・サプリメントGMP
健康食品やサプリメントは、医薬品とは異なり自主的な取り組みが中心ですが、業界団体(公益財団法人日本健康・栄養食品協会など)による、厚生労働省のガイドラインに基づいた第三者認証制度が定着しています。
消費者への安心感の訴求や品質トラブル防止のために取得が進んでいます。
その他(医療機器QMS、再生医療等製品GCTPなど)
医療機器には、製造管理・品質管理の規格としてISO 13485との整合が図られたQMS省令が適用されます。
また、細胞や組織を用いる再生医療等製品には、より特化した製造管理基準である「GCTP省令」が定められています。
製品の特性に合わせ、対象製品ごとに、法令上の基準や自主基準への対応が求められます。
GMPの導入・運用方法
研究所や試験サービス部門がGMPを適切に導入し、持続的に運用していくためには、次のステップと管理要件を網羅することが重要です。
製造・品質管理体制の構築
GMPの原則として、実務を行う組織と、それを客観的にチェックする品質管理(あるいは品質保証)部門を独立させ、整合性のある組織図と責任体制を明確に構築する必要があります。
手順書(SOP)の作成
「誰が作業しても一定の品質で実施できる」ように、あらゆる作業・清掃・試験・トラブル時の対応を網羅した「標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedure)」を文書化します。
構造設備の整備
交差汚染(コンタミネーション)を防ぐためのゾーニング、防塵・防虫対策、バリデーション(設備が意図通りに機能することの検証)が施された製造ラインを構築します。
汚染や誤投入を防止できる清潔な環境(空調やパーティション)、定期的な保守点検や校正(キャリブレーション)が容易に行える機器の配置といった「ハードウェア面」の整備と維持管理が必要です。
厳格な記録と管理(データの完全性)
作業や試験のプロセスで得られたデータは、その場で漏れなく正確に記録しなければなりません(データの完全性:データインテグリティ確保のため)。
さらに、改ざんを抑止・検知できる形で変更の履歴(監査証跡)を管理・保管します。
誤記や紛失も防ぎながら、いつでも査察や内部監査時に提示・追跡できる状態(オーディットトレイルの確保など)を維持します。
教育訓練の実施
優れた手順書や設備があっても、現場のスタッフがGMPの重要性や正しい手順を理解していなければ意味がありません。
そこで、全従業員(試験員やオペレーター)を対象に、定期的かつ計画的な教育訓練を行い、手順通りに作業を行うマインドを定着させ、その実施記録もすべて保管します。
まとめ
GMPの導入・運用は、高品質な製品の安定供給と社会的信頼の獲得に不可欠な仕組みです。
特に医薬品等の分野では「三原則」の徹底と厳格な記録管理が求められます。
GMPを正しく運用するためには膨大なSOPの改訂管理や、製造・品質試験データの原本性(データの改ざん防止・完全性)の証明が必要となり、紙やExcelを中心としたアナログな管理では、現場の工数負荷が非常に高く、ヒューマンエラーのリスクを排除し切れないという課題があります。
こうしたGMP運用に伴う記録管理や試験データ管理の課題に対応し、信頼性向上と業務効率化の両立を支援するソリューションとして有効なのが、LIMSなどのITシステムの活用です。
たとえば、品質検査のワークフローと監査証跡などにより、試験データの変更履歴を管理できるLIMS「WeLS」や、実験・分析のプロトコルや記録の標準化を支援する電子実験ノート「NEXS」がおすすめです。
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